田上真里奈 × 下平慶祐 オフィシャル対談インタビュー
主演・田上真里奈 × 翻訳・演出 下平慶祐 特別対談
――『Belleville』はどんな作品でしょうか。
- 下平
- 最初に読んだのは10年ほど前なんですが、その時は正直“ただの男女の痴話喧嘩”にしか見えなかったんです。淡々としたやり取りが続くだけで、そこまで印象には残らなかったんですよね。
- 田上
- 確かに淡々としてますよね。
- 下平
- でも不思議なことに、年齢を重ねた今改めて読むと、人間の矛盾や30代前後のクライシスが全部詰まっている。読み込むほどすごく鮮やかな戯曲だと気づいたんです。
- 田上
- 私は出演のお話をいただいてから読んだんですが、一度読んだだけではきっと理解できていないと感じながらも、「これはすごい作品だ」という匂いがありました。下平さんが演出、共演者の方々の名前を聞いて、直感的に「これを逃したら後悔する」と思ったんです。
- 下平
- 本当に、すごいメンバーが揃いましたよね。
- 田上
- はい。底知れぬ雰囲気を持っていて、飛び込みたいと思わせる力がありました。
――稽古を重ねる中で、どんな手応えを感じていますか。
- 下平
- キャストもスタッフも、とにかく作品と真剣に向き合って“戦っている”感じがあります。
- 田上
- 分かります。休憩中に役について話すこともあるんですが、それもほんの一瞬。みんな普段はあまり言葉にしないんですよね。
- 下平
- そうそう。
- 田上
- だからこそ、稽古で目にする表現にすべてが凝縮されている気がします。それぞれが粛々と準備してきたものが稽古場で鮮やかに立ち上がる瞬間を目の当たりにできるのは、すごく嬉しいです。
- 下平
- それこそ「人間の可能性を信じている」ということだと思います。「この役はこうだ」と簡単に決めつけないし、仮にそう思う瞬間があったとしても「まだ別の可能性があるんじゃないか」と探り続けてくれる。作品の根底にも“人を信じる”という姿勢が流れています。
- 田上
- 稽古場全体が「信じ合っている」空気で包まれていますよね。だからこそ挑戦できるし、健康的に稽古が進んでいるんだと思います。
- 下平
- キャストもスタッフも想像以上のものを持ち込んでくれるから、まだ自分が気づけていなかったこの戯曲の鮮やかさに日々出会えています。現段階でも間違いなく「いい作品ができあがっている」という自覚があります。
- 田上
- 本当にみんなが自分のやるべきことをやっているという言葉がぴったりな現場ですね。
――お互いの印象を教えてください。
- 田上
- 下平さんの稽古場は「楽しい」と聞いていたので、今回とても楽しみにしていたんです。実際その通りで、厳しさと安心感が同居する現場をつくってくださっていて。私自身、ありのままでいられるのがありがたいです。
- 下平
- 僕は7、8年前に田上さんを初めて舞台で観て、「すごい、この人」と衝撃を受けました。その時の作品では妖怪みたいな役を演じていて、あまりのすごさに怪物?モンスター?という印象でした。
- 田上
- 怪物…!(笑)
- 下平
- でも今回ご一緒してみたら、いつもニコニコしていて軽やかで、その印象が真逆でした。でも稽古が進むにつれて、また“モンスターみ”が溢れ出してきていますが、今は「美しい」という言葉が一番ふさわしい俳優だと思っています。
- 田上
- ひゃ〜〜(笑)そんなふうに言っていただけるのは照れますね。でも私から見ても下平さんはとても正直で誠実。稽古場に余計なノイズがなく、私も安心して自分を出せています。
- 下平
- あんまりピンときていないですが(笑)。ありがとうございます。
――最後に観客へのメッセージをお願いします。
- 田上
- この作品に出会えたことは、これまでの人生や仕事を肯定してくれるご褒美のように感じています。「このために続けてきたんだ」と思えるくらい。観てくださる方の人生にも、そんな一歩になったらいいなと思ってます。ぜひ劇場に足を運んでください。
- 下平
- 『Belleville』は、観る人それぞれに大きく心を揺さぶる作品です。そして、この戯曲と俳優たちの人生が奇跡的に重なった“今”だからこそ立ち上がる作品になっていると確信しています。それはまさに9月3日〜9日のわずか1週間ほどの間でしか観ることができない作品ということです。どうか見逃さないでほしいなと思ってます。
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